ETFの上場廃止リスクとは?実際の事例から学ぶ対策と心得

投資コラム

1. はじめに:ETF投資の魅力と気になるリスク

ETFは、低コストで幅広く分散投資ができる便利な金融商品です。たとえば、NEXT FUNDS 日経225連動型やiFreeETFシリーズなど、私たちの身近にあるETFは、日々の資産形成に大きな可能性をもたらしてくれます。

しかし、どんなに魅力的な商品にも、ひそかなリスクが存在します。そのひとつが「上場廃止リスク」です。これは、ETFが特定の条件を満たさなくなった場合、市場から退場し、最終的に償還される可能性があるというもの。投資家としては、こんな予期せぬ事態にも備えておくことが大切です。

実際に、過去にはいくつかのETFが上場廃止となり、投資家が困惑する事態が発生しました。たとえば、2025年には「iシェアーズ フロンティア&セレクトEM ETF(FM)」が上場廃止となり、投資家の間で話題となりました。この記事では、こうした実際のケースを参考にしながら、上場廃止リスクの仕組みやその影響、そして安心して投資を続けるためのポイントについて紹介していきます!

2. ETFの上場廃止リスクとは?

ETFは魅力的な金融商品ですが、実は「上場廃止リスク」というリスクも存在します。ここでは、上場廃止リスクの基本的な仕組みと、どのような場面で起こりうるのかについて、やさしい言葉でご説明します。

上場廃止リスクって何?

  • ETFも上場している商品
    株式と同じように、ETFは証券取引所に上場しており、日々の取引が可能です。しかし、一定の条件を満たさなくなると、ETFは市場から退場する(上場廃止になる)ことがあります。
  • 上場廃止=必ずしもゼロではない
    株式が上場廃止になると急落してしまうケースもありますが、ETFの場合は「繰上償還」という形で、最終的には基準価額に基づいて現金化される仕組みになっています。つまり、上場廃止になってもすぐに全額が消えてしまうわけではありません。

どうしてETFが上場廃止になるの?

ETFが上場廃止になる主な理由は、以下のようなケースがあります。

  • 資産残高の減少
    ETFの魅力のひとつは、多くの資産に分散投資できる点ですが、もしETFに十分な資産が集まらなくなった場合、運用効率が低下し、結果として上場廃止の対象になることがあります。
  • 流動性の低下
    取引量が極端に減少すると、希望の価格で売買が難しくなります。そうなると、運用会社は「このままの状態では効率的な運用が難しい」と判断し、上場廃止(繰上償還)を決定することがあります。
  • 運用上の問題
    市場環境の急変や、ETFの運用戦略自体に問題が生じた場合、運用会社が投資家の利益を守るために上場廃止の決断をすることもあります。

ETF上場廃止リスクの影響

  • 売買ができなくなる期間が発生
    上場廃止が決定されると、ETFは「整理銘柄」として取引される期間に入ります。この期間中は通常の売買が難しくなり、投資家は急な対応を迫られることも。
  • 最終的な現金化までのタイムラグ
    上場廃止後、すぐに全額が口座に戻るわけではなく、最終的な償還金として現金が振り込まれるまでに時間がかかる場合があります。このタイムラグ中に、市場環境が変動するリスクもあります。
  • 取得価格との差損リスク
    ETFの上場廃止に伴う償還金は、最終的な基準価額に基づいて計算されます。購入時の価格と比べて償還金が低ければ、損失が発生する可能性があります。

3. 現在上場しているETFを例に見る上場廃止リスク

ETFは手軽に分散投資ができる便利な商品ですが、時には上場廃止のリスクもあります。ここでは、実際に上場廃止となったETFの事例をもとに、どんなときに上場廃止の可能性があるのか、また投資家が気をつけるべきポイントをわかりやすく解説します。

具体例:iシェアーズ MSCI フロンティア・アンド・セレクトEM ETF(FM)

例えば、「iシェアーズ MSCI フロンティア・アンド・セレクトEM ETF(FM)」は、フロンティア市場と一部の新興国市場の株式に投資するETFでした。しかし、流動性の低下や市場環境の変化により、運用会社が上場廃止(繰上償還)を決定しました。

上場廃止が決まると、ETFは市場での取引を停止し、投資家は保有分を売却できなくなります。ただし、繰上償還の制度があり、決定時の基準価額に基づいて現金が払い戻されるため、投資資金をすべて失うわけではありません。ただし、償還金の振込まで時間がかかるケースもあるため、投資家は注意が必要です。

投資家が取るべき対策

定期的なチェックを習慣に

ETFの純資産残高や取引量(出来高)を定期的に確認しましょう。証券会社のサイトや金融情報サイトで、最新の状況をチェックすることが大切です。

目論見書を確認する

ETFの目論見書には、上場廃止(繰上償還)に関する条件が書かれています。購入前にしっかり目を通し、自分の投資スタイルに合っているか確認しましょう。

分散投資を意識する

1つのETFに資金を集中させるのではなく、複数のETFや他の金融商品と組み合わせて投資することで、万が一のリスクを抑えられます。

ETFは便利な投資手段ですが、上場廃止リスクがあることも理解しながら、上手に活用していきましょう。

4. ETF上場廃止リスクへの対策と投資家の心得

ETFが上場廃止になるリスクを完全になくすことはできませんが、事前に対策をしておけば、影響を最小限に抑えることができます。ここでは、投資家ができる具体的な対策と心得について、分かりやすく解説します。

1. 分散投資を心掛けよう

ETFに限らず、投資の基本は分散投資です。特定のETFに資産を集中させるのではなく、複数のETFや他の資産クラスに分散しておけば、万が一のときもリスクを抑えることができます。

2. 運用資産の規模や流動性をチェック

上場廃止リスクが高いETFには、「運用資産額が少ない」「取引量が少ない」といった特徴があります。こうしたETFは投資家の関心が低いため、運用会社が廃止を決めやすいのが実情です。投資する際は、運用資産額や日々の取引量をチェックし、規模がある程度安定しているETFを選びましょう。

3. 運用会社の方針や市場の動きを把握

ETFを運用する会社の方針や市場の流れを定期的にチェックすることも重要です。特定の市場や商品から撤退する兆しがあれば、早めに対策を考えたほうがいいかもしれません。公式発表やニュース、運用報告書などを活用しましょう。

4. 上場廃止が決まったときの対応を知っておこう

もし保有しているETFの上場廃止が決まった場合、次のような選択肢があります。

  • 市場で売却する: 取引停止前に売却することで、リスクを早めに回避できます。
  • 償還を待つ: ETFによっては、運用会社が保有資産を清算し、投資家に償還金を支払うこともあります。償還時の価格が市場価格より有利なら、売却せずに待つのも選択肢のひとつです。

5. 柔軟な対応が大切

ETFの上場廃止リスクをゼロにはできませんが、事前の対策をしっかりしておけば、落ち着いて対応できます。市場やETFの状況を定期的にチェックし、柔軟に対応できるように準備しておくことが大切です。

まとめ

ETFの上場廃止リスクについて解説してきましたが、いかがでしたか?

ETFは便利で魅力的な投資手段ですが、上場廃止のリスクもゼロではありません。特に、出来高が少なかったり、特定の市場に集中していたりするETFは、予期せぬ廃止の可能性があることを知っておくことが大切です。

今回取り上げた実際の上場廃止事例を参考に、投資する際は以下のポイントを意識してみてください!

  • 出来高が安定しているETFを選ぶ
  • 分散投資を心がける
  • 定期的にETFの運用状況をチェックする
  • 万が一の際に備えて、償還ルールを確認しておく

投資はリスク管理が大事!事前にしっかり調べて、安心して資産運用を続けていきましょう。

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